■ファインディングスについて
1.増加傾向 新規テレビ出稿広告主
新規テレビ出稿広告主数は2018年度から2021年度にかけて、関東・関西・名古屋3エリア平均で100社以上増加した。コロナ禍で成長を遂げたDX関連のWEBサービスやデジタルエンタメ企業がテレビ出稿に踏み切ったことが主な増加の要因として考えられる。
2.全体での初年度総出稿量は横ばい 1社あたりでみると比較的小規模な出稿が増加
新規テレビ出稿広告主全体での初年度出稿GRPはコロナ禍の影響を受けた2020年を除きほぼ横ばいに。広告主数は増加傾向であるため、1社あたりの出稿規模としては漸減傾向。
また、少額からテレビ出稿ができるサービスを各広告会社が提供し始めるなど、テレビ出稿へのハードルが下がってきている環境下で、比較的小規模な広告予算の企業がテレビ出稿を行うケースが増加している結果に。
3.新規広告主の約40%が2年以上継続に 3年以上継続した広告主の約70%は翌年も継続
新規広告主の約40%が2年以上テレビ出稿を継続した。また、3年以上継続した広告主の翌年出稿率は70%を超えており、3年以上継続した広告主はテレビ出稿が定着していく傾向もみられる。
さらに、デジタル広告単体では難しい企業・ブランド認知の獲得や既存デジタル広告におけるCPAの改善など、テレビ広告が広告主の抱えている課題に直接作用し、事業貢献性の高いマーケティング施策に成り得たかが、出稿継続を判断する基準となっているのではないか。
4.毎年約50社がテレビ出稿を開始 スタートアップ企業比率は10%前後で推移
直近5年間、新規テレビ出稿広告主におけるスタートアップ企業比率は、2020年の13.6%をピークに、10%前後で推移した。また、年間平均で約50社程度のスタートアップ企業が新規でテレビ広告出稿を開始しており、従来デジタル広告を中心にマーケティングを行ってきた企業がテレビにも同様のモニタリング・運用環境を求めるケースも多く、運用型テレビ市場の成長ドライバーになっている。
さらに、各広告会社もコーポレートベンチャーキャピタルからの出資や運用型テレビをはじめとするスタートアップの成長支援サービスの提供等を実施し始めており、単なる広告出稿のサポートに留まらない関わり方に変化してきている。
■スタートアップ企業の出稿傾向
スタートアップ企業の新規出稿のパターンは、ローカルエリアでの効果検証を経て、資金調達を行い、徐々にエリアを拡大させていく傾向だ。
また、限られたマーケティング費用を効率的に使っていくために、ローカルエリアでの出稿による効果検証結果をその後の出稿に生かしたい企業が多くいる。このような状況に加え、指名検索やサイト来訪などウェブ行動をKPIに設定している業種の新規出稿が増加していることも受け、各広告会社も広告主がテレビCMに求める効果測定や分析に対応していけるよう、運用型テレビ広告サービスのケイパビリティを拡張。
さらに、広告素材の観点では、30秒以上の長尺素材を活用している企業は全体の約60%も。BtoBのDXソリューションに代表されるような新たな体験サービスを創出する企業にとっては、長尺素材を活用し、より深い理解を得る必要性があることが要因と考えられる。
なお、今回紹介した博報堂DYメディアパートナーズは、広告メディアビジネスのデジタルトランスフォーメーションを果たす次世代型モデル「AaaS」※を提唱。運用型テレビ広告をはじめとする幅広いKPIを起点としたメディア施策のPDCAサービスの提供や“AaaS for startup”の提供を通したスタートアップ企業支援の強化など、広告主の広告効果最適化を通して事業成長に貢献する取り組みを行っている。