公益社団法人日本印刷技術協会(以下、JAGAT)は8月10日、「JAGAT印刷産業経営動向調査」で「脱印刷」を志向する動きが見られることを発表した。
JAGATは毎年、会員企業を対象に実施している「印刷産業経営動向調査」で、強化したい工程、縮小したい工程を調査。近年は「企画・マーケティング」、「Web制作」、「デザイン」といった川上工程の強化志向が強くなっている。
印刷工程については、長期にわたり強化意向が低減し、縮小意向が増加。2022年度調査では、縮小意向が強化意向を上回った。
印刷工程について、2007年からの強化・縮小意向の推移。2007年当時、強化するという回答が43.7%、縮小するという回答が3.4%である。強化意向が縮小意向を圧倒的に上回っていた。
しかし、時間の経過とともに強化意向は減少を続け、2011年からは30%を割ることが常態化し、2018年には20%を割り込んだ。縮小意向は2019年から毎年上昇しており、2022年は初めて20%を上回る。2022年の強化意向は15.9%であり、5.6ポイントも縮小が強化を上回る結果となった。
回答企業からのコメントでは、老朽化した印刷機の更新を課題として挙げる声が引き続き多い。更新を機に台数を集約するという流れが続いている。また、設備だけでなく採用難により人材の世代交代が進まないという声がある。
このままでは将来、維持できなくなるという強い危機感がある一方で、今後の印刷需要減を見越した上での生産体制の再構築が必要という声も。今後、生産部門をどうしていくか難しい判断が迫られつつある。複数企業で生産設備や人材をシェアしようとする試みもでてきた。
(出典:公益社団法人日本印刷技術協会)