印刷業界で10年連続増収 MICが取り組む「選択と集中」

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印刷業界は、斜陽産業だ。数十年前から印刷業界は厳しい状況が続く。そのため、「脱印刷」が業界では大きな課題となっている。

今回、マーケティング・オペレーションの改善・最適化を一気通貫で支援するMIC株式会社(以下、MIC)1※は、2021年3月期の決算で過去最高の売上に。MICは印刷業界の一つの成功モデルかもしれない。今回、MICのプレスリリース2※で発表した情報を基にヒントを探る。

1※2022年1月1日に、水上印刷の社名をMIC(ミック)に変更
2※出典:PRTIMES「「水上印刷」2021年3月期決算発表 過去最高売上・利益を達成 縮小する印刷業界で10年連続増収、年平均成長率10.5%を実現」

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■2020年度業績について

2020年度の業績は、売上高6,706百万円(前年同期比101%増)、経常利益1,187百万円(同141%増)、当期純利益817百万円(同162%増)だ。コロナ禍において、過去最高売上・利益を達成し、10年連続増収、年平均成長率(直近10期)は10.5%に。

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売上推移

■10年連続の増達成 要因とは

1.「選択と集中」が奏功 コロナ禍での顧客注力事業へ
2020年度上期は、新型コロナウイルス感染拡大を受けた各種行動制限の影響により、顧客業種によって販促活動を抑制する動きが見られた。

そのため、オンラインやデリバリー事業など、コロナ禍における顧客の注力事業への「選択と集中」を進めたことで、前期全体として、過去最高売上・利益を達成することに成功。

2.顧客の「時間創造」&「PL改善」という価値提供を実現 従来の印刷ビジネスから脱却
印刷による売上は売上全体の約30%だ。過去10年にわたって、企画・デザイン、マーケティング、デジタル・システム化、ロジスティクスまで一気通貫でおこなうフルサービスカンパニーとして事業転換を実施。

あらゆる顧客の“非効率”を解消し、煩わしい業務負担から顧客を解放することで、顧客の時間創造を実現するとともに、潜在・顕在コストの削減により、顧客のPL改善に貢献することにこだわった。

■「非効率の改善」人件費4.5億円の削減効果 

日本の労働生産性は主要先進7か国において最下位の状況が続き、その中でも従事人口の多い小売業においては、米国の生産性水準を100%とした場合に約32%の生産性しかないという結果も。MICは、特に小売業が抱える生産性の課題に着目し、店頭販促という切り口から物流・製造費の削減やオペレーション改善を行っている。

※参照:公益財団法人 日本生産性本部「生産性レポート Vol.13」

■販促物の管理集約・個店配送モデル

各メーカーや制作会社から届く販促物をMICに集約し、個店ごとに「必要なものを必要な数だけ届ける」仕組みを構築する。店舗は販促物の荷受け回数が削減され、販促本部では物流費と製造費を削減。また、作業負荷と費用面の改善と同時に、CO2排出の削減から環境面での改善効果も見込める。

※出典:MIC「販促物を集約し、非効率と無駄の解消を」
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販促物の管理集約・個店配送モデルのイメージ

MICではこの仕組みを大手コンビニエンスストア企業に提供し、販促物の発送・製造の集約によって配送/製造コストの約20%をカット。また、必要な販促物のみが届くことで、販促物の取り付け・取り外しにかかっていた時間が1店舗につき週あたり約30分の短縮に。これは全国展開するコンビニでは、人件費が年換算で4.5億円削減された計算となる。

このように「非効率」を現場目線の改善で解消していくことで、店頭販促のオペレーションに新しいスタンダードを作り、小売業での更なる生産性向上を目指していく。

■顧客の課題解決に向けて

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ここまで、MICの取り組みについて紹介してきました。基本的なこともかもしれませんが、「あらゆる顧客の“非効率”を解消し、煩わしい業務負担から顧客を解放する」この課題を解決するために、MICはフルサービスを一気通貫で行い売上を上げた。

企業規模によって行えることにも限界があるため、足りないリソースや知見を協力会社と一緒に行うことがより重要になってくるかもしれません。

また、社名に印刷があると「印刷会社」のイメージを払拭しづらいこともあり、近年は社名から「印刷」をトル企業も増えてきました。

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印刷業をなくす必要はないですが、印刷以外の売上確保、これが今後のキーワードになることは間違いないかもしれません。
今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。ありがとうございました。



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