株式会社リクルート(以下、リクルート)は、転職支援サービス「リクルートエージェント」の転職決定者分析(2009年度~2020年度)を行い、転職市場の動向をまとめた。以下、結果の概要だ。
■転職時の業種・職種の異同状況と推移
具体的には、2016年度から2017年度にかけて、「異業種×異職種」の割合が「異業種×同職種」の割合を上回り、現在の構造に変化したことがわかる。「異業種×異職種」の割合が年々増加する一方で、「同業種×同職種」の割合は減少している。「同業種×同職種」は、2009年度は27.9%であるが、2020年度は19.6%まで減少した。
■【年代別】転職時の業種・職種の異同状況
■【経験職種別】転職時の業種・職種の異同状況
■解説 HR統括編集長 藤井 薫氏
1、今や中途採用市場は、「異業種×異職種」への転職が主流のパターンになっている。
「異業種×異職種」が年々増加する一方、「同業種×同職種」は減少の一途。2020年度、「異業種×異職種」の転職パターンは36.1%、「同業種×同職種」は19.6%。
2、業種や職種を越えた越境転職は、20代が牽引かつ、30代以上にも波及しつつある
「異業種×異職種」は、20~24歳で52.0%と最大。年代が上がるにつれ「同職種」転職がメイン。ただし、30代以上でも「異業種×異職種」の転職パターンの増加が起きている。
3、接客系・企画系で「異業種×異職種」転職が顕著。全ての経験職種で業種越境の動き
「異業種×異職種」転職は:接客・販売系経験者が65.4%と最大。マーケ、事務、経営企画も約半数近くが越境。
機械・電気・建設・SE・ネット専門職といった技術系職種経験者も、比較的「異業種」転職の割合が高い。
こうした越境転職が主流となってきた中途採用市場。そこには二つの背景がある。一つには、すべての産業・企業がビジネスの在り方を変革するIX、CX※の動きがあった。すべての産業が、自らの業種や職種を再定義する時代。それに呼応して、異業種・異職種の異能人材を積極的に中途採用している。もう一つの背景は、働く個人の意識の変化だ。人生100年時代を生きる働き手は、企業寿命と個人寿命の逆転で、終身雇用より終身成長を望み出しているという。これまでの業種や職種経験にとらわれず、自らの成長機会を提供してくれる成長産業や成長企業に越境し出している。いまや「同業種×同職種」転職は、市場全体のわずか2割。今後、企業は、即戦力人材の定義を見つめ直すと同時に、業種経験・職種経験の有無に依存していた採用時の人材評価も、より細かい粒度の適応スキルやポータブルスキルの評価へと再定義を余儀なくされるという。個人も、前職の業種・職種にとらわれず、異なる世界に出会いの機会を求めて越境する。そのためにも、自らのスキルの棚卸しをし、ポータブルスキルを整理。中途採用市場の構造変化の時代こそ、新たなキャリア戦略、採用戦略が求められている。
※IX=インダストリアル・トランスフォーメーション (産業変容)
※CX=コーポレート・トランスフォーメーション (企業の根幹からの変革)
HR統括編集長 藤井 薫氏について
プロフィール(略歴) 1988年、リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)に入社。以来、人と組織、テクノロジーと事業、今と未来の編集に従事。「B-ing」、「TECH B-ing」、「Digital B-ing(現、リクナビNEXT)」、「Works」、「Tech総研」の編集、商品企画を担当。TECH B-ing編集長、Tech総研編集長、アントレ編集長・ゼネラルマネジャーを歴任。 2016年、リクナビNEXT編集長に就任(現職)、2019年にはHR※統括編集長を兼任(現職)。
※HR=Human Resources(人的資源・人材)
参考情報
【年代別】転職時の業種・職種異同のパターン別推移
・調査対象者:「リクルートエージェント」を利用した転職決定者
・調査対象期間:2009年度~2020年度(2021年3月末)
▼詳細は下記リンクよりPDFをご覧ください▼
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20210805_hr_02.pdf
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